認知症とは、脳や身体の疾患によって脳の神経細胞が減ってしまい、

記憶や判断力などに障害を起こして、自立した日常生活を送ることが困難な状態です。

 

老化による「物忘れ」と認知症の違い

認知症の初期症状として、「前にあったことを忘れてしまう」というものがあります。

これは、老化による「物忘れ」とよく似ていますが、次のような違いがあります。

■老化による「物忘れ」の場合

  • 体験したことの一部を忘れる。
  • 記憶障害(ど忘れ、人の名前が思い出せないなど)のみ。
  • 物忘れについての自覚がある。
  • 症状があまり進行しない。 

■認知症の場合

  • 体験したことをすべて忘れる。
  • 記憶障害のほか、見当識障害(日時、場所、人がわからなくなる)や                            判断力の低下(家事や買い物などで状況に合わせた判断ができない)がある。
  • 物忘れについての自覚がない。
  • 症状が進行する。 

早期発見、早期治療が大切な病気なので、少しでも怪しいなと思ったら、

精神科や神経科など専門医の診断を受けましょう。

診察前の目安として、「認知症のチェックリスト」を利用するのも有効です。

認知症の主な症状……中核症状と周辺症状

 

認知症になると、「中核症状」と呼ばれる次のような症状が現れます。

  • 記憶障害……物忘れが激しくなる
  • 見当識障害……日時、場所、人がわからなくなる
  • 判断力の低下……状況に合わせた判断ができなくなる

この中核症状に伴い、人によって次のような「周辺症状」が現れます。

  • 妄想……「通帳を盗まれた」などの物取られ妄想、「食事に毒を入れられる」などの被害妄想
  • 幻覚……あるはずのないものが見えたり聞こえたりする
  • 不安……今までできていたことができなくなることによる不安や焦燥
  • 依存……一人になると落ち着かなくなり、常に家族の後ろをついて回る
  • 徘かい……よくわからない目的で歩き回る
  • 攻撃的行動……ささいなことで怒って暴言を吐いたり暴力をふるう
  • 睡眠障害……夜間の不眠、日中のうたた寝など
  • 介護拒否……入浴や着替えなどを嫌がる
  • 異食……食べられない物を口に入れてしまう
  • 抑うつ……気分が落ち込み、何もしたくなくなる

これらの症状が頻繁に現れるようになると、一人で生活することは非常に困難です。

普段から安全な暮らしを維持できるように見守り・声かけが必要となります。

また、買い物をしたり、料理を作ったり、家事を行ったりすることも難しくなるので、

そうした生活面での支援も欠かせなくなります

認知症とは、正常であった脳の働きが、病気によって持続的に低下した状態のことです。

原因となる病気はさまざまですが、多くは「アルツハイマー型」と「脳血管性」のいずれかか、その合併症です。

最初は、ただの物忘れとの区別がつきにくいですが、少しでも怪しいなと思ったら、

精神科や神経科など専門医の診断を受けるのがおすすめです。